January 26, 2021

新作とオンラインの関係性

アニメーションは孤独な作業です。 ひとつの作品が完成するのに数年を費やします。その期間は毎日同じようなことを繰り返します。朝起きてご飯を食べ、新聞を読み、ラジオを聞きながら絵を描く。家族と話もするし時々友人に会ったりお出かけしたりもしますが、作品を作っている間は内にこもり自分の中に深く潜っていくような感じです。身近なことから世界全体のこと、過去を振り返ったり遠い未来のこと、いろんなことを考えたりしているけれど、自分という小さな器の中から出ることができないのです。

作品が完成すると思考はガラッと変わります。 作品は完成して誰かに観られると同時に私から切り離されます。完成直後は作品は自分に近い存在なのですが、時が経つにつれて全く別のひとつの生き物のように存在し始めます。自分がまるで分裂したかのような錯覚に陥ります。自分の存在があやふやになるのですが、鑑賞者と作品を通して対話を重ねていくと、今までとは全く違う視点で物事を考えるようになります。そうなると制作中に考えていたことが新しいアイデアへと変化して、次の制作へと進むことができます。

『深海の虹』(2019)を完成させ、今は新作を作り始めています。 これまでは完成するまで作品の内容を公開することはしませんでした。今回は制作中に考えていることやプロセスを発信してみようと思い、ブログをはじめました。ブログを通じて外と繋がり今までとは違った思考になれば面白いなと思っています。どんなブログになるのかまだ分からない部分も多いのですが、おつきあいいただけたら嬉しいです。