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June 10, 2022

「えほん館むむむ」の展示を終えて

LUNATIC PLAN(e)T展 SWAN

展示が終わって2週間。ぼーっとしている。
疲れてやる気が無くなったわけではなく、その反対で頭の中はやりたいことでごった返している。結論から言うとむむむの展示をやってすごく良かった。今はその良かった理由をひとつずつ咀嚼していっているのかな。

 

「えほん館むむむ」は、桂にあった「えほん館」が二条に移転し、名前を変えてリニューアルオープンした絵本屋さん。「えほん館」のオーナーの花田睦子さんは京都で30年以上児童書専門店を続けているすごい人。今回、渡辺トキコさん(通称トキラさん)を新店長に迎え、新しいスタートを切るタイミングだった。トキラさんは図書館司書をされていた方で、もちろん絵本のことはすごく詳しいのだけど、絵本に限らず演劇、アート、デザイン、など幅広い興味を持っていて奥の深い人。「えほん館むむむ」は二人が今まで培ってきたものを、混ぜてこねて発酵させたらすごいものができた、というような場所。

 

そんな「えほん館むむむ」オープン第一回目の大事な展示をさせてもらえることになった。二人がまきちゃんの好きにしていいよ、やりたいことをやってねと言ってくれたので、初めての試みをやってみることにした。これまでの展示では作品上映や原画の展示、アニメーションの仕組みを解説したり、そもそも完成品のお披露目という意味合いが強かった。制作に数年を費やし、完成してから初めて公開して見てもらっていた。最初は制作途中の作品を公開するのに、少し不安や迷いがあった。まだ形の定まっていないものを見せて良いのだろうかというような不安。

 

私は自分というものが良く分からない。私というものは太陽に照らされた一本の木みたいにどっしりと確かに存在しているものではなく、暗闇の中に立ち上る湯気のようなものだと思う。他者から光を当てられることで見えるようになるのだけど、形が定まらない曖昧な存在。強い風に吹かれると簡単に形を見失ってしまうし、流動的でどんどん形が変化していく。これまでの作品制作は、そんな曖昧な自分を作品という形で固定する作業だったような気がする。だからなのか作品が完成した瞬間から、私と作品との乖離が始まる。

 

新作『LUNATIC PLAN(e)T』でやりたいのは、自分の形を固定して見てもらうことじゃない。むむむの展示を見てくれる人々の姿を見ながら、私はこの作品で曖昧な感覚みたいな形にできないものを積み重ねて、それを共有したいのだなと思った。